研究戦略部門は2020年4月に発足した、研究戦略支援、研究企画、研究広報、国プロ等の資金獲得支援、調査分析などの業務を担当するURAの組織です。
部門の多岐にわたる活動のなかから、2021年度のトピックスを取り上げて紹介いたします。
1.学内向け研究情報ポータルサイトのリニューアル
目的
学内の研究支援などの活動は様々な部署で行われています。これらの情報を教員の視点でまとめたポータルサイトを提供することで、研究情報へのアクセスをスムースにすることを目的としております。
概要
全学サイトの教職員向けページにある“研究”のページを全面的に見直しました。担当部署に協力いただき、研究情報に関係するサイトの洗い出しを行い、“研究資金を獲得する”など教員のアクションごとにカテゴリーを作成してコンテンツを整理しました。2022年2月中に公開予定です。
研究情報にアクセスしやすくなることで学内の様々な支援活動などを活用いただき、教員の研究活動が推進されることを目指しています。
リニューアルイメージ
アピールポイント
部署ごとの縦割りではなく、教員視点でのポータルサイトにしており、情報がどこにあるか、わかりやすくなっています。
担当
松林真奈美、ダサーラ チャールズ、研究企画1G
2.大学の枠を超えた異分野融合研究の取組
目的
オンラインによるコミュニケーションの普及を契機に、大学間での融合研究のマッチングの仕組みづくりを研究大学コンソーシアム(RUC)の活動として開始しました。
概要
コロナ禍を契機にZoomなどオンラインツールによる会議やコミュニケーションが増えており、全国36の大学や研究機関のURAが参加する研究大学コンソーシアムにおいて、URAによる研究支援活動をDX化し、特に「分野や機関の枠を超えた共同研究」の立案から実施、フォローアップにかかわるURAの業務を支援するためのDXプラットフォームの構築をすすめることを目的としたMIRAIプロジェクトを開始しました。
本年度はプラットフォーム開発と、ポストコロナ社会における研究を目指して各機関から研究者を募りマッチングを行う試行を着手しています。
本学はこれまで学内の異分野融合研究の支援として学内ファンド、マッチングイベント(Tokyo Tech Research Festival)、マッチングツール(Collabo Maker)等を活用した支援を行ってきました。
今までの経験を活かしながら、異分野融合タスクフォースの開催やMIRAIプロジェクトを推進するコア大学の一員として積極的に活動を行っております。
アピールポイント
DXを十分に活用しながら大学の枠にとらわれない新しい融合研究の形と価値創造を目指しています。
担当
新田元、井上素子
3.四大学連合と異分野融合イベントを開催
目的
他機関との連携により学際領域、複合領域の研究の更なる推進を図ることを目的に、各種の研究イベントを企画運営しています。今年はとりわけ四大学連合(東京医科歯科大学、東京外国語大学、一橋大学、東京工業大学)間の連携に注力しました。
概要
「四大学で考える新型コロナ流行から50年後の社会と研究―『四大学連合ポストコロナ社会コンソーシアム異分野融合研究会』」と題するイベントを開催しました(2021年12月22日、オンライン)。文系・理系ほぼ半数ずつ、21名の研究者が登壇し、50年後の遠い未来を予想し議論しました。イベント後半、登壇者は4つのグループに分かれ、工学・医学・法学・民俗学といった多様な見地から、メタバース、技術革新、未来の食など様々なテーマの議論を交わしました。
アピールポイント
文系・理系の異分野研究者と自由に議論する交流の場を提供しています。研究の刺激を受けて、イベント後も学外研究者との交流が続く例が見られます。研究者の融合研究が促進されるよう、四大学連合や東工大としても継続的に支援していきます。
担当
井上素子、新田元、亀上知世子、松林真奈美
「四大学で考える新型コロナ流行から50年後の社会と研究」チラシ
4.農工連携研究の推進
目的
Society5.0の実現および、生命・理工系分野のビックデータ利用等による産業振興を目指して、本学は2019年に国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)と協定を締結しました。今年度は、両機関の強みを生かし異分野融合・連携を強化することで、農業関連分野における社会課題の早期解決と社会実装を加速させるために、協定の延長契約を締結し、農工連携研究を推進しています。
概要
両機関間の強みを活かした連携関係を強化するため、「連携協定事務局定例会議」を月に1回実施し、新しい共同研究に向けたディスカッションや、双方の研究者が自由に意見交換できる「交流会(仮)」の企画検討、外部資金等の情報交換を行っています。そして会議で挙がった農工連携研究のテーマを、学内の部局URA等を通じて研究者に提案し、実際に共同研究として開始できるよう体制構築の支援を行っています。
アピールポイント
新規共同研究のマッチングだけでなく、双方の研究者ができる限り研究活動に専念できるよう、連携協定の枠組みを活用した守秘義務や契約関連の整備なども進めています。将来的には両機関を中心とした大型研究拠点の構築を目指して、新たな農工連携研究の推進を支援しています。
担当
亀上知世子、新田元
農研機構ー東工大連携協定による異分野融合研究拠点形成
5.公募情報配信システム「SHIORI」
目的
東工大研究者がより効率的に研究資金公募情報を取得できることを目的として、これまでに取得した外部資金公募情報をデータベース化し、的確に共有する体制を作りました。
概要
研究資金情報へのより良いアクセスを提供するため、公募情報配信システムSHIORI(SHaring Information on Opportunities for Research and Innovation)を開発しました。本学の既存公募情報システムの後継として、SHIORIは以下の機能を備えています。
- 研究分野、提出期限、対象などの条件で検索可能
- 募集期間、学内締切、公募締切を含む募集カレンダー表示
- 新着公募情報をお知らせするメールマガジンの配信
- 効率的な情報共有のため、公募情報取得・公開の半自動化
アピールポイント
より効率的に、よりタイムリーに研究資金情報を提供することを目指し、公募情報配信システム「SHIORI」を立ち上げます。本格運用は2022年度の予定です。
担当
ダサーラ チャールズ、井上素子、小西朋子、杉尾成俊
6.創発的研究支援事業獲得支援
目的
研究戦略部門では本学に所属する研究者のために、様々な外部資金の獲得支援を実施しています。その一環として、JST 創発的研究支援事業について、公募の情報提供や面接練習など採択に向けた支援を実施しました。
概要
創発的研究支援事業は2020年度から新たに創設された事業のため、審査の方法や求められる研究提案についてなど、URAが申請のポイントを分かりやすくまとめて研究者へ情報提供を行いました。また、書面審査を通過して面接審査の対象者となった方に対しては、希望に応じて、外部資金獲得等のご経験のある本学教員の方々を審査員として面接練習を実施しました。
アピールポイント
面接練習では練習希望者の研究分野になるべく近い教員や大所高所からご意見をいただける経験豊富な教員に審査員を依頼し、できるだけ本番に近い状態で模擬的な面接を実施しました。実際に面接練習を活用した研究者の方からは、「厳しい指摘も多かったが大変有益な場であった」、「不足しているポイントを認識することができた」といったコメントをいただきました。
担当
小西朋子、井上素子、亀上知世子
7.Tokyo Tech ANNEX プロモーション
目的
海外、特に米国西海岸における東工大の知名度向上のための広報活動を行いました。
概要
- 東工大は2021年10月1日米国サンフランシスコに、海外拠点のTokyo Tech ANNEX Berkeleyを開設しました。コロナ禍で実施が難しい対面の開設記念イベントの代わりに広報施策によるプロモーションを実施しました。
- 米国の研究者が興味を持つコンテンツとして、西海岸で活躍している研究者・企業人に、イノベーションについて語ってもらいました。
東工大ウェブサイト「日米の大学発イノベーションを語るーTokyo Tech ANNEX Berkeleyに期待すること」 - ANNEX Berkeley webページ
- プレスリリース(設立背景・活動内容)およびSNSによる告知
- 有料配信、JETROからリンク配信、JSPSニューズレター記事、Twitterなど
- 期間限定バーチャルキャンパスを公開
アピールポイント
Tokyo Techの認知度向上を目指し、研究成果や研究活動に関する高品質な情報を提供し、社会との接点を示すことで、メディアに宣伝してもらえるように働きかけています。
担当
長谷川一英、川口恵美子、ダサーラ チャールズ、上田啓雄、水越達也、坂本桃子
8.Tokyo Tech Research Festival (TTRF) による研究情報プロモーション
目的
東工大の気鋭の研究者を産業界に紹介することを目的として、産学連携関係のイベント、Tokyo Tech OPen innovation & venture/research festival (TTOP) 2021の中の一つとして開催しました。
概要
TTOP 2021は11月25日~26日の2日間にわたりオンラインで開催しました。全体のテーマをSustainability Transformation(SX)と設定しました。TTRFでは「明日を切り開く研究者の持続可能な未来社会への挑戦」をテーマとして、各部局から推薦していただいた8名の研究者に、世界的な課題となっている持続可能な社会の実現に資する研究を紹介していただきました。リアルタイムでの視聴者は181名でした。
アピールポイント
先端技術共創機構(ATAC)の皆さんによるリハーサルを行い、企業の人たちに関心をもってもらえるようにプレゼンテーションをブラッシュアップしました。その効果もあり、視聴者から高い評価が得られ、「東工大では、極めて斬新な切り口から、グリーンイノベーションにつながる様々な取り組みが行われていることが具体的に分かった」といったコメントをいただきました。
担当
長谷川一英、押本諒太、池内悠哉、井上葉子
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