◆東工大URAは異分野融合研究を支援しています
東京工業大学では、学内研究者の異分野融合研究を加速するため、3つの活動を推進しています。
<1.「CollaboMaker」(コラボメーカー)>
1つ目は、学内限定の双方向ウェブ掲示板システム「CollaboMaker」(コラボメーカー)。 研究者が、他の研究者に向けて研究のシーズ・ニーズを書き込み、共同研究の相手を探すことが出来るツールです。
<2.「Tokyo Tech Research Festival」>
2つ目は、異分野融合イベント「Tokyo Tech Research Festival」です。
2018年11月「TTRF2018」では、気鋭の東工大研究者35名が一堂に会し、約150名の来場者を前に渾身のプレゼンテーションを実施しました。さらに、当日はポスターに付箋でコメントを残すなどのユニークな仕組みを取り入れ、これまでに出会わなかった異分野の専門家同士の意見交換を満喫しました。
<3.>「異分野融合研究支援」学内ファンド
3つ目は、「異分野融合研究支援」の学内ファンドです。1つ目・2つ目はリサーチ・アドミニストレーターによる支援ですが、3つ目は大学からの研究費支援です。
TTRF2018などから生まれた研究チームを支援する目的で東工大基金を活用して創設されました。
これら一気通貫した支援により、学内の研究者同士が出会い、議論し、共同研究が生まれる土壌の形成に努めています。
◆仕組みを利用した先生に感想を伺いました
こうした取り組みを積極的に活用されている先生をご紹介します。
近藤 正聡 先生(科学技術創成研究院 先導原子力研究所 准教授 )
TTRF2017・TTRF2018に連続出場。2018の会場では、来場者同士による投票に基づき選ばれるベストプレゼンテーション賞を受賞。コラボメーカー・TTRFを通じて出会った千々和伸浩准教授(環境・社会理工学院 土木・環境工学系)、オ ミン ホ助教(物質理工学院 材料系)と共同研究チームを結成し、「異分野融合研究支援」学内ファンドを獲得されています。
<近藤先生よりコメント>
「これまでにフェスと呼ばれるイベント(音楽フェスなど)に全く参加した事がなかったため、Tokyo Tech Research Festivalの『フェス』というワードが醸し出す何とも華やかな雰囲気に心を躍らせながら参加させて頂きました。
このフェスでは、参加エントリーの段階で、『コラボメーカー』という学内限定公開の掲示板を通じて自己紹介や共同研究の紹介をする機会があります。私は核融合炉の冷却材に関する研究をしているのですが、コラボメーカーでエントリーをされている先生方の専門性を横目でみつつ、せっかくのフェスなので色々な分野の大勢の先生に興味をもってもらいたいと思い「SF映画技術実現化への挑戦 液体金属アーマーロボット」というテーマを思いつきました。SF映画「ターミネーター」のT1000というアンドロイドをイメージさせるものです。
フェス当日は、「液体金属ロボット。ちょっと難しいんじゃないの?」と若干疑われながらも、原子炉特有の材料である液体金属の様々な可能性に興味をもってもらう事ができました。(液体金属ロボットの研究は現在も継続しています。)
このフェスを通じてコンクリートの研究をされている千々和先生と金属間化合物の研究をされているオ ミンホ先生と出会い、「コンクリートと金属(特に低融点金属)の組み合わせで新しい物質を創れないか」、「(ノーベル賞は無理でも)イグノーベル賞を狙いたい(笑)」ということで、研究打ち合わせから開始しました。
異分野の研究者同士が真剣に知恵を持ちよる事により、今まさに直面しているコンクリート廃材のリサイクルの課題に挑戦できる事がわかり、学生も巻き込む形で研究を開始する事としました。その後、異分野融合研究支援に採択頂き、URAの先生方の支援も受けながら研究を進めています。学生も分野の違う先生からアドバイスを受ける事ができるため、良い刺激となっているようです。異分野融合イベントは、自分の研究のヒントを見つけられるだけでなく、世界を豊かにする革新技術のアイデアを生み出すチャンスにつながるものだと思います。今後も異分野融合イベントを通じて様々な分野の先生方と出会いながら、これまでにない斬新なアイデアに挑戦していきたいと思います。」
(2019年6月寄稿)
澤田 敏樹 先生(物質理工学院 応用化学系 芹澤研究室 助教、科学技術振興機構 さきがけ研究者 (兼任) )
TTRF2018に出場。TTRFを通じて出会った門之園哲哉助教(生命理工学院 生命理工学系)、佐藤伸一助教(科学技術創成研究院 化学生命科学研究所)と共同研究チームを結成し、「異分野融合研究支援」学内ファンドを獲得されました。
<澤田先生よりコメント>
TTRFにより、普段はなかなか出会えない先生方とのコラボレーションを推進することができる機会を頂ことができ、非常にありがたく思っております。
TTRF後には早々に共同研究を開始し、新たなコラボレーションによって、研究を大きく展開できる可能性を感じさせるデータが得られ、非常に嬉しく思ったことを覚えております。
この予備的な知見を基に、門之園先生・佐藤先生と新たにバイオ医薬を高精度に送達するシステムの構築を目指す研究提案を行い、幸運にも学内ファンドに採択頂くことができました。分野の異なる三者の共同研究により、単独ではできない研究を協奏的に推進したいと思っております。
我々の場合は、互いに必要としている研究や実験を補い合う関係で共同研究を進めることになりましたが、こういった分野の異なる研究者同士が研究を紹介し合うような場では、不足を補い合うのみならず、新たな視点で研究を展開することもできるのではないかと感じました。
先生方、仕組みのご活用と応援メッセージを、ありがとうございました。
◆その先に目指すもの
URAは、支援を契機としてマッチングが成立した研究者に対し、研究資金獲得の支援や研究者同士の更なる交流を支援します。
最初は小規模なフィジビリティから始まり、10年後には東工大を代表する大型プロジェクトへ、そしてより良い未来社会の実現へと繋げるべく、引き続きサポートしていきます。
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